NFTの「希少性」は100％信頼できるのか

　　あるシリーズのNFTを購入する際に、そのデジタル資産の数量を一定の範囲（プロジェクトチームが設定した作成可能なNFT数量上限）に制限されていることが認められている。この仕組みにより、NFTは偽造することができない。では、このNFTの特徴、「希少性」は100％信頼できるものなのだろうか。

　　NFTの希少性は、ブロックチェーンとスマートコントラクトテクノロジーによって実現される。NFTの希少性の前提は、基盤となるブロックチェーンとスマートコントラクトのセキュリティである。また、NFTの希少性は発行者の影響も受ける。

　　【スマートコントラクトの脆弱性がNFTに与える影響】

　　スマートコントラクトを通じて作成されたNFTは、トークンのような複数発行されるという点に脆弱性があるものと見られている。実際に、設定よりも多く発行されてしまったNFTの例もある。「WeareWhatWe Eat」というNFTは、リリース段階でプロジェクトチームによって提供されたNFT数は250個だったが、脆弱性を突かれOpenseaの流通市場に表示されるNFTの数量は450個になった。予め決められた個数を超えてNFTが発行されれば、当然その希少性と価格に影響が出る。

　　【発行者の行動がNFTに与える影響】

　　

　　NFTは知的財産権や著作権法の保護対象になるため、購入したNFTの権利は購入者にはないという点にも注意が必要だ。実際、ほとんどのNFT発行者は、原作の著作権を有している。つまり理論上は、発行者が同じNFTを繰り返し発行することができる。同一のNFTの枚数が増えれば、NFTの希少性と価値は失われてしまう。NFT保有者に経済的損失を与え、また発行者自身の評判も低下するだろう。

　　【ブロックチェーン基盤の安定性がNFTに与える影響】

　　ブロックチェーンには常に、フォーク（fork）*やデータベースの紛失・破損などのリスクが付きまとう。

　　*フォーク（fork）とは、最も深刻なチェーンの分割である。ブロックチェーンの発展性についての意見の違いにより、2つのコインが生まれてしまうことをハードフォーク（hard fork）と呼ぶ。この場合、履歴データを共有する2つのフォークチェーンが生成される。歴史的には、ビットコインネットワークはハードフォークによりビットコイン（BTC）とビットキャッシュ（BCH）に、イーサリアムはハードフォークによりイーサリアム（ETH）とイーサリアムクラシック（ETC）に分割された。

　　基盤となるブロックチェーンがフォークされると、NFT保有者は2つ同じのNFTを持つことになり、どちらが本当の価値あるものなのか、非常に判断が難しい状況に直面する。

　　過去にこのような例は存在しないが、フォークを発生される恐れのあるブロックチェーンコミュニティがNFTやデジタル資産の価値に影響を与えることは避けられないだろう。

　　

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