調査会社：2021年、442億ドル相当の暗号通がNFT市場に流入、不正利用も増加

　　NFT（非代替トークン）は、2021年のブロックチェーン市場で最も注目されている資産の一つである。ブロックチェーン調査会社Chainalysisが、今週に発表した調査レポートによると、2021年には少なくとも442億ドル相当の暗号通貨がERC-721契約およびERC-1155契約（NFT市場とデジタル収集品に関連する2つのイーサリアムスマートコントラクトである）に送金された。これは、2020年の金額「1.06億ドル」の400倍にあたる。

　　Chainalysisは、NFT市場における2種類の不正利用も確認した。

　　1、仮装売買で、NFT作品の価値を上げる。

　　2、NFTを利用したマネーロンダリング。

　　仮装売買

　　Chainalysisは、自己金融（self-financing*）アドレスへのNFTの販売を分析することにより、NFTの仮装売買を追跡する。売り手のアドレスまたは、最初に売り手のアドレスに資金を提供したアドレスによって資金を提供したことである。自己金融アドレスへのNFT販売を分析した結果、一部のNFT販売者は既に何百回の仮装売買を行った。

　　*自己金融（self-financing）：自己資金で資金調達を行うこと。

　　上図の1位のNFT自己金融アドレスは、既に830件の取引を行っている。下図のEtherscanスクリーンショットをみると、売り手が「0×828」で始まるアドレスを使用しており、NFT市場を介して、「0×084」で始まるアドレスに0.4ETHでNFTを販売していることが分かれる。

　　示したデータは正常であるが、しかし、Chainalysisが公表した下図は、アドレス「0×828」が売却直前にアドレス「0×084」に0.45ETHを送金したことを示している。

　　Chainalysisは、ブロックチェーン分析で、仮装売買に関与している疑いのある262個アドレスを明らかにした。その中で、110個のアドレスは収益性が高く、総利益は約890万米ドルであることがわかった。NFTの仮装取引については法律的にゲレーゾーンであり、この現象がNFTのエコシステムへの信頼を損ない、将来の成長を妨げる不公正な市場に導いている。

　　マネーロンダリング

　　違法なアドレスを介してNFT市場に送金された暗号通貨の金額は、2021年の第3四半期に大幅に増加し、100万ドルを超えた。その数字は第4四半期に再び増加し、140万ドル前後に達した。両四半期とも、大部分の資金は詐欺関連のアドレスからのものである。

　　上の図によると、NFT市場に送金したサイバー犯罪者に関連するアドレスには、マルウェア運営者、詐欺師、P2P取引所Chatexが含まれている。

　　Chainalysisが2021年に追跡した86億ドル相当の暗号通貨マネーロンダリングと比較すると、NFT市場におけるマネーロンダリングはそこまで大きな額ではない。しかし、マネーロンダリングの存在はNFTに対する信頼を揺るがしかねない。これが理由で、規制当局からより厳しい規制政策を受けるかもしれない。

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